尾山製材日記

富山県と新潟県の県境の朝日町で材木屋を営みながら、みつろうクリームなども製造しております。

クルミ油について

胡桃を拾うことからクルミ油を取る過程をアップしていましたが、
なぜ、クルミ油に入れ込んでいるかについて、
自分が作っている蜜蝋ワックスに使っている
菜種油、亜麻仁油椿油と比較しながら説明します。


クルミ油(※ヨー素価:150)は、
乾性油(木に浸透し、樹脂化することで木の補強、防水、対汚染性、美化をねらう)で、
独特の光沢がある通気性を保つ塗膜ができる。


亜麻仁油(※ヨー素価:130)は、
乾性油(木に浸透し、樹脂化することで木の補強、防水、対汚染性、美化をねらう)で、
乾性油でもっともよく使われ、乾燥がおそく黄変し、通気性を保つ塗膜ができる。


菜種油(※ヨー素価:100)は、
半乾性油(乾性油に準じた目的で使用) 主用途は、食用油です。
通気性を保つ塗膜ができる


椿油(※ヨー素価:31)は、
不乾性油(硬化しないの油)
人間の肌から出る油に最も近く、無塗装に近い感じ。


※ヨー素価の大きさにより乾性油(130以上)、不乾性油(100~130)、半乾性油(100以下)の三つに分類されます。ヨー素価が大きいと酸化しやすく、酸素と二重結合して樹脂化しやすい。

そして、
本題に戻りますが、
油には、いろいろな特徴があり
自分の作っている蜜蝋ワックスに今は、亜麻仁油、菜種油、椿油ブレンドし使っていますが、
本当はクルミ油もブレンドしたいと思っていますが、
高価な油なので、自分で絞れないかと試行錯誤しております。


塗装の目的は、
表面のキズやワレを防ぎ、汚れや水分がしみこまないようにし、
湿度変化による木の収縮や変形を少なくすることでしょう。
これらの目的にかなう塗料はウレタン樹脂塗料のような合成樹脂塗料です。
しかし、
塗膜により光沢がありすぎて、木の材質が失われているような気がします。

天然の塗料では、塗装の目的を重要視するには、合成樹脂塗料にはかないませんが、
塗膜の固さを追求せず、防水性や耐久性を犠牲にしても木の材質を失うことなく、
乾性油が乾燥・樹脂化したものは固くならず、
木の収縮によって塗膜にヒビがはいりにくくなります。
そして、
最近ではDAYブームであり、天然素材指向という事が加わり、
もともと木の中に存在した油を使って塗装するということが価値があるかもしれません。