尾山製材日記

富山県と新潟県の県境の朝日町で材木屋を営みながら、みつろうクリームなども製造しております。

柿渋と釘

先日、
『柿渋をそのまま使うと赤茶系統の色がでると思うのですが、
黒系統の色を出したい場合、ビンの中にさびた釘などを入れておきますと黒っぽい色はでるものでしょうか。本当は昔は黒色がでるようなべんがらを混ぜたと思うのですが、錆びた釘で代用はできないでしょうか?』と質問をいただきました。

とりあえず、このように返答いたしました。
『鉄分と柿渋のタンニンが反応して黒変色するのですが、顔料になるくらいの色が出るかはわからないです。柿渋は顔料も鉱物系など天然のものでないと離反するので、錆びた鉄で黒変するようなら大丈夫じゃないでしょうか。ちょっとあいまいな知識でごめんなさい。』



そこで、柿渋に釘を入れて黒変したもので着色できるのか?実験してみました。


まず、
柿渋に釘を入れました。
イメージ 1

右が釘入て10時間くらい柿渋でかなり黒く変化しています。
左が柿渋のみです。


イメージ 2

杉の柾板に塗ってみました。
左の板は、釘入り柿渋で塗りました。ほんのり黒色になりました。
右の板は、蜜蝋ワックスを塗てある板に柿渋のみを塗ったので柿渋がはじかれています。



イメージ 3

30分ほど乾かして、
余計な水分を布でふき取った直後です。
右の板は、釘入り柿渋で塗りました。ほんのり黒色になりました。
左の板は、蜜蝋ワックスを塗てあるのに柿渋のみを塗ったのであまり着色しませんでした。


もう少し時間を置かないとはっきりした結果は出ませんでしたので、
日を少し置いて重ね塗りして経過を見たいと思います。


柿渋のタンニンと鉄分が合わさって黒色になるが、
鉄分は水と紫外線によって錆びるので屋外で使う塗料としては木材を弱らせるので、
水や紫外線の当たらない室内で使うものにされる塗料として使用しても問題はないです。